2007-05-06
■ [その他]恐怖を演出すること

巻末に、高寺彰彦さんと高橋洋さんと中田秀夫さんの面白い対談があったのでメモ。
中田:ホラー映画って、どこかの瞬間に荒唐無稽になって、「これは非現実だ」っていう瞬間を描かなければならない。 だから、その現実から非現実までを巧みに移行させて、うまくお客をのめり込ませる。 例えば、『リング』だったら主人公がビデオを見るまでだね。 信じる信じないじゃなくて、そこまでに親近感とか不安感を持たせることができれば”勝ち”かな、と。
キャラを身近な存在としてプレイヤーに印象づけたりできれば、”勝ち”ですね。
逆に「これはゲームだ。トライ&エラーで攻略できる」と思わせてしまうと、
そういった面白さはなくなりますね。
(ゲームとしての面白さはありますがー
高橋:「幽霊は何をするといちばん怖いか」って話し合いになって(笑)。 やっぱり、何もしないで遠く煮立っているのがいちばん怖い。 襲ってくると急に人間臭くなっちゃう。
なんでもかんでも、プレイヤーを襲えば怖い、ってものでもないみたいですねー。
例えば、ジーっと、プレイヤーを睨んでいるだけの敵は怖いですね。
近寄っても何もしてこない。
「なんだ、敵じゃないんだ」
と安心して背を向けた瞬間、後ろからブスリとか(笑)。
高寺:マンガでも、立ち位置というのは重要ですよ。 『悪霊』の場合、例えば主人公が最初にお化けに出くわす場所としては、どこがいちばん怖いんだろう、って考えたんです。 それで、無防備な状態で出てこられるのがいちばん嫌だろうということで、入浴中にしたんです。 高橋:この半分だけ見えているのがポイントだね。生身に人間だったらこんな立ち位置はとらないから。 高寺:ホラーマンガを描いていると、いろいろなお化けの話をよく聞くんですけど、 その中で”本当に怖いパターン”っていうのがあるんです。 それは、最初は怖いとか何も気がつかなくって、あとでその理不尽さや怖さに気付く、っていうパターン。 トンネルの脇に人がいて、車でそのまま通り過ぎちゃったけど、帰りに通ってみると人が立てる場所じゃなかった、とか。 考えてみたらそこは2階だったのに、とか。
例えば、いちばんリラックスできる空間(町など)を用意しておいて、
そこで、安心している時に敵に襲われるとか、、。
時間差で、恐怖を演出するのもいいですね。
高橋:ホラーの仕事をしていてつくづく残念だと思うのは、 今まで言ってきたような ”方法意識こそが恐怖を保障する” ってことがなかなかわかってもらえないこと。 平気で、幽霊と向かい合った人間を幽霊ナメで撮ったりする。 人間同士が向かい合うのと同じ発想で処理しちゃっている。 中田:トラップを仕掛けた空間にカメラが先に入ってて、怖がる少女たちが入ってくるところを待ち構えちゃったり(笑) 高橋:先にわからせちゃねぇ(笑)。 「フレームの外に何かいるかもしれない」という不安感をかき立てる計算、 観客のエモーション(感情)をどうコントロールするか……
地形に「何かいるかもしれない」と思わせると、
慎重なプレイスタイルになると、行動よりも思考が上回り、より不安感を増大させる、、。
全てをオープンにすると不安感は生まれないですね。
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